オーディオブックで「読む」ということ

オーディオブックは本を音声で聴く形式です。読むか聴くかで理解度に差が出るのかを比べた研究では、成人を対象とした比較で有意な差が見られなかった、という報告があります(Rogowsky et al., 2016)。

何が違うのか

目で読むときは、自分のペースで速さを変えられ、戻って読み直すのも自由です。聴くときはこれが難しく、かわりに歩きながら・家事をしながらでも進められます。

つまり両者は「どちらが優れているか」ではなく、使える場面が違います。手と目が塞がっている時間を読書に変えられるのは、音声だけの性質です。

積読が積読のまま残る主な理由は、読む時間そのものが取れないことです。ここに効くのは速く読む技術ではなく、読める時間帯を増やすことです。


何が分かっているか

出典は査読を通った研究に限っています。

成人では、読む・聴くで理解度に有意差が出なかった(2016年)

Rogowsky ら(2016)は成人を、電子書籍で読む群・オーディオブックで聴く群・両方同時に行う群に割り当て、理解度テストで比較しました。群間に有意な差は見られませんでした。

扱ったのはノンフィクション1冊で、参加者は成人です。子どもの学習や、難度の高い技術書に同じ結果が当てはまるかは、この研究からは言えません。


分かっていないこと・誤解されやすいこと

オーディオブックの効果として語られることのうち、根拠の弱いものを挙げます。

「聴くほうが記憶に残る」とは言えない

上記の研究が示したのは差が見られなかったことで、聴くほうが優れているという結果ではありません。逆方向の主張も同じ根拠では支持されません。

倍速再生の効果は別の話

再生速度を上げたときに理解度がどうなるかは、上記の研究が扱った範囲の外です。速度と理解のトレードオフを、この結果から読み取ることはできません。

すべての本が音声に向くわけではない

図表や数式が中心の本、参照しながら読む本は、聴く形式と相性がよくありません。

日本語のオーディオブック市場は、英語圏と事情が違う

英語で出ている本が日本語版でも音声化されるとは限らず、時期も揃いません。「その本が聴けるようになったか」は、その都度確かめるしかないのが現状です。


mibuki ではどう実装しているか

kikeruka は、気になる本がオーディオブック化されたときに知らせるアプリです。日本国内向けです。

本のバーコード(ISBN)をスキャンすると、Audible と audiobook.jp の配信状況をまとめて確認できます。タイトルを打ち込む必要はありません。

まだ配信されていない本は、配信が始まったときにプッシュ通知が届きます。無料で、アカウント登録も不要です。

🔴 日本の書籍流通の ISBN が前提で、確認できるのは上記2サービスのみです。日本国外の書籍・サービスには対応しておらず、表示も日本語のみです。

kikeruka を見る →

References

掲載しているのは、著者・年・掲載媒体を現物で確認した文献のみです。査読誌の論文は巻号ページまで Crossref で照合しています。

最終更新: 2026年7月